モーツァルト ①ピアノ・ソナタ第11番イ長調 K.331 (300i)『トルコ行進曲付き』 ②幻想曲 ニ短調 K.397 (385g) ③幻想曲 ハ短調 K.475 ④ピアノ・ソナタ第8番イ短調 K.310 (300d) ヴィルヘルム・ケンプ（ピアノ） 録音：1962年1月 苦悩や深いパトスを湛えた、短調で書かれた第８番。終楽章でトルコの軍楽隊の小太鼓を模したリズムが用いられ『トルコ行進曲付き』の愛称で親しまれている第11番。幻想味豊かな美しい作品で特に人気の高い幻想曲ニ短調と、楽想の赴くままに即興風に展開される幻想曲ハ短調。聴く人々に至福の時を与えてくれる、ヒューマニスティックな温かい感情に溢れたケンプの慈愛に満ちた演奏です。 ケンプがモーツァルトを奏でるとき、そこには柔らかく心地よい春の陽が差し込みます。彼のモーツァルトは既成の概念による型にはまったものとは一線を画す表情豊かかつロマンティックなもので、息の長いフレーズとゆったりとした余韻が聴くものの心に爽やかな一陣の風を送り込むものです。学究的なモーツァルト解釈が多いなかこのようなスタイルの演奏は今日では貴重なものであり、メランコリックな曲においても決して感情過多に陥ることなく温かな眼差しでモーツァルトを見つめるケンプ。これは、まさに彼だけが到達しえた境地といえましょう。 ふくよかな響きでモーツァルトの美を表出した素晴らしい演奏です。 ケンプのモーツアルト独奏曲のステレオ正規録音盤は、このDGたった一枚しかありません。残念な限りです。 しかし、この心温まる優しさはたとえようもありません。是非、聴いておきたい名演です。 誰よりも不器用ながら、どうしようもなく滋味にあふれたピアノを弾いてしまうケンプ。彼が本領を発揮するのは、バッハのような陰のある多声音楽だと思うのですが、モーツァルトもハマるものはハマります。ソナタ第11番の第1楽章や第8番の第2楽章は、ケンプ特有の角がなく温かい音色とあいまった旋律美が素晴らしい。当たり前に弾いているだけなのですが、各声部の役割分担が上手く、そのバランスがどこまでも心地いい。 国内盤【廃盤】帯無し、盤面傷無し 帯はありませんがそれ以外は新品に近い美品です ＊まとめ買い値引き致します(要事前コメント) 　追加1点に付き各150円引き 　10点以上は全品150円引き