マーラー　2枚組 ①交響曲 第6番 イ短調「悲劇的」 ②交響曲 第10番から アダージョ 指揮：ジュゼッペ・シノーポリ フィルハーモニア管弦楽団 録音：1986年、1987年 シノーポリのマーラー６番は、２番、５番と並ぶ名演である。どこが名演かというと、それは、この作品がもつ古典的造形を保ちながら、同時にこの作品がもつ英雄の死という悲劇的象徴を、とことんまで表現しきっているからである。このマエストロは、この録音においても、知性と激情を融合させて、音楽として結実させています。第1楽章の冒頭から迫力に圧倒されてしまいます。 この「音の洪水」によって興奮せずにはいられなくなってしまいます。 しかし、一転して第3楽章での美しい旋律と、まさに＜マーラー・ワールド＞の魅力たっぷりです。 圧巻は終楽章のハンマーです。このハンマーを中心としたこの楽章の「壮絶な音楽」は心にガンガン響いてきます。 全体的に、管楽器と打楽器を中心とした音作り、迫力満点ですが、バランスも常に最上に保たれています。この曲は指揮者の解釈も重要ですが、オケの実力も大変重要です。その点でもフィルハーモニア管は万全です。まさに『シノーポリVs.フィルハーモニア管』で、戦地(死に場所)に赴く英雄の気概を感じさせる、ストイックな印象さえ受けます。録音の質感も高く好印象です。この一連のシノーポリのシリーズは、いつもながらシュアーな演奏で、試聴ナシでも安心して買えるます。ビギナーの方の入門盤としても好適です。聴き手の好みが分かれるのを前提としても、この盤をスタンダードと言い切っても良い位の完成度が、この演奏にはあります。聴いてるうちに、シノーポリが巨体を揺さぶりながら音楽に対峙する姿が瞼に浮かんできます。 シノーポリ・マーラー交響曲演奏の中で最も特筆すべきなのはこの「第６番」なのです。「アルマのテーマ」でテンポをぐっと落して此れ以上無い位美しく再現しています。これは他のどの指揮者も為し得ていない事で、それ以降の楽章でも、まるで「第６番」を初めて耳にしたかの様に感じさせる部分は多く、これは類い希な事ではないでしょうか？ 国内盤、帯無し、盤面傷無し 12 プラケースすれあり