基本情報 •著者：武者小路実篤 •出版社：講談社（少年講談社文庫 B‑14） •初版発行：昭和49年6月28日、第１刷 •装丁：岩本正雄 •経年劣化によるヤケ・変色あり（写真参照） ⸻ 目次より抜粋（全3章構成） 1.とんち小ぼうずの巻 　千菊丸の誕生、母子の別れ、茶わんの引導など童年期のエピソード 2.きちがいぼうずの巻 　一休と将軍、凍らされた一休、風狂僧としての姿 3.一休禅師の巻 　禅僧としての教え、死の受容、遺言の言葉など ⸻ 内容と魅力 •禅とユーモアの融合：一休の「とんち話」は、宗教的知恵と人間味あるユーモアの結晶。 •仏教思想の入門として：臨済宗の考え方や仏教的人生観が、やさしい言葉で語られている。 •物語性と教育的価値：子どもでも楽しめる構成ながら、大人が読んでも含蓄に富む。 •昭和の文庫の魅力：紙の質感や挿絵、編集の雰囲気など、今では貴重な昭和文庫本の風合いを楽しめる。 ⸻ 背景と仏教との関わり •一休宗純（1394–1481）：風狂の禅僧として知られ、型破りな行動やとんち話で庶民に親しまれた臨済宗の高僧。 •武者小路実篤（1885–1976）：白樺派を代表する文学者で、人道主義的な視点から仏教を描いた本作は彼の理想主義的精神が反映されている。 •仏教児童文学としての価値：宗教的教訓を含みつつも、物語としての完成度も高く、戦後教育の一環として家庭に広く読まれた。 ⸻ コンディション 本文にシミ・ヤケあり。1970年代の古書らしい風合いがありますが、全体として綴じはしっかりしており、読書に支障はありません。古書としての状態をお楽しみいただける方におすすめです。 ⸻ 仏教、禅、一休、昭和文庫、教育文学に関心のある方に。家庭で読めるとんち話として、あるいは思想的入門書としても再評価される一冊です。