モーツァルト ①6つのドイツ舞曲 K.600 ②セレナーデ第7番 K.250「ハフナー・セレナーデ」 指揮:ギュンター・ヴァント 北ドイツ放送交響楽団 (NDR交響楽団) 録音:1989年 無類の純粋さと精緻なテクスチュアの構築――ヴァントのモーツァルトの真骨頂。ブラームスとベートーヴェンの交響曲全集という2つの金字塔を完成させた後、1989年11月にヴァントが手がけたのがこのアルバムで、結果としてこれがヴァントにとって生涯最後のセッショ録音となりました。「ハフナー」は、「ポストホルン」と並ぶヴァント長年の愛奏曲で、ＬＰ最初期のギュルツェニヒ管とのモノラル録音以来の再録音となったもので、その格調高い愉悦感は他には代えがたいほどです。「6つのドイツ舞曲」も、それぞれの小さな舞曲間のコントラスを見事に表出しています。非常に丹精で、細かいところまでヴァントらしくよく鳴らしており、それがまた落ち着いたテンポで続くのですから、じっくりとこの音楽を再発見できます。 名匠ヴァントの最後の録音セッションが、モーツァルトの軽やかな名曲だったとは興味深い。彼ならではの誠実な指揮ぶりは基本にあるが、軽妙洒脱な作品の数々を心から楽しんでいることが、ちょっとした表情の端々に伝わってくる。手兵北ドイツ放送so.も深い共感でそれに応えた。 ヴァントの演奏は、例によって厳格なスコアリーディングに基づいた緻密さを基軸にしており、優美さや典雅さよりもむしろ、交響曲を演奏するような姿勢で演奏に接している。したがって、ハフナー・セレナードの持つ愉悦性においては、いささか欠けているが、格調の高さにおいては無類のものがあり、一聴すると武骨な表現の中にも、独特のニュアンスや情感の豊かさが込められている。必ずしも一般受けする演奏とは言い難いが、演奏に内在する意味の深さ、彫の深さには尋常ならざるものがあり、巨匠ヴァントの晩年の至高・至純の境地があらわれた素晴らしい名演として高く評価したい。ドイツ舞曲も、ヴァントのような大指揮者が演奏すると、偉大な芸術作品に変貌する。正に、同曲の真の魅力を引き出すのに成功した稀有の名演と高く評価したい。 初期輸入盤【廃盤】盤面傷無し 15 オリジナル盤 ＊まとめ買い値引き致します(要事前コメント) 　追加1点に付き各150円引き 　10点以上は全品150円引き