20年ほど前に、クスコから南東に約400㌔離れたプーノの桟橋から、標高3800㍍に位置するチチカカ湖に浮かぶウロス島の、トトラ（葦）を束ねて作られた浮島を訪ねたとき、島に住む先住民の方から入手しました。その後は、織物などの収納棚に置いたままとなっていました。時は経ていますが、ほぼ未使用です。 　本品は、3800㍍の高原のチチカカ湖では気温が低いためか、毛糸の平織布に、水に浮かぶトトラ（葦）と水鳥のモチーフを刺繍しています（3枚めは裏側）。 　水に浮かぶ葦を映し、水の青、葦の黄緑色、その穂の赤茶でトトラの茂み23個を描き、湖に集まる水鳥22羽を、濃い黄のくちばし、黄と青緑の羽、緑のトサカと足、胎の黄緑の糸で刺繍し、愛嬌のある情景を描きます。前を向く水鳥と、餌を取るために頭を下げる、2種類の水鳥です。 本品は、入手時のままでほぼ未使用ですが、黄白の糸の間に細く茶色の糸が所々で小さく使用されていたり、また、肌色に変色した小さな部分（1ヵ所、多分）もありますが、これら御了解下さい（1枚め下側中央の図、10枚めの紫矢印←）。 　クスコとチチカカ湖に思いを馳せながら、浮島ウロス島の淡い色合いで愛嬌のあるモチーフを施された、毛糸刺繍布を楽しんでいただければと思います。 　なお、 刺繍布下には白の布を使用してますが、撮影の関係でやや青白く見え、刺繍布の発色も似た状況です。部分撮影（5枚め以降）の色合いでもう少し黄がかった色が、本品の色合いとご理解ください。 サイズ　縦　約71㌢　横　約75㌢