1945年3月、東京大空襲のただなかにあって、著者は「方丈記」を痛切に再発見した。無常感という舌に甘い言葉とともに想起されがちな鴨長明像はくずれ去り、言語に絶する大乱世を、酷薄なまでにリアリスティックに見すえて生きぬいた一人の男が見えてくる。著者自身の戦中体験を長明のそれに重ね、「方丈記」の世界をあざやかに浮彫りにするとともに、今日なお私たちをその深部で把えて放さぬ伝統主義的日本文化を鋭く批判する名著。毎日出版文化賞受賞。 目次 1 その中の人、現し心あらむや 2 世の乱るゝ瑞相とか 3 羽なければ、空をも飛ぶべからず 4 古京はすでに荒れて、新都はいまだ成らず 5 風のけしきにつひにまけぬる 6 あはれ無益の事かな 7 世にしたがへば、身くるし 8 世中にある人と栖と 9 夫、三界は只心ひとつなり 10 阿弥陀仏、両三遍申してやみぬ 筑摩書房・1973年3月9刷発行の毎日出版文化賞受賞作・堀田善衛「方丈記私記」函付きです。経年のヤケも少なく、本体にはシミや書き込み、蔵書印などもありません。 52年前の古書であることをご理解の上、購入の検討をお願いいたします。 ※堀田善衛の以下の作品も出品しています。 19階日本横丁 橋上幻想 ゴヤ 4巻揃 時間 スフィンクス 聖者の行進 定家明月私抄 正続 ラ・ロシューフコー公爵伝説 若き日の詩人たちの肖像 誰にも不思議に思わない
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