大きな流水の地紋を入れた綸子の生地に蝋で防染して染め上げたロウケツ染めの小紋です。（写真8枚目は流水の地紋写真です） 葉の形とその葉形の中に小花や葉をピンクや水色等、そして白の顔料を薄く染めて描いた着物です。 染料を生地や糸に染み込ませて着物柄を描いていくのですが、染料は染めたところから糸の繊維を伝って広がります。 一つひとつ別の色が出るよう染め分けるためには、狙ったところ以外に色が染まらないように染料をせき止める必要があります。 そのため、防染に蝋（ろう）を用いて染めた「ろうけつ染め」の小紋です。 ろうけつ染めは、溶かした蝋を筆にふくませ、布に輪郭線を描くことから始まります。 輪郭線の内側に染料を塗ることで、色が滲まずに布に絵を描くことができます。 また、生地に塗った蝋に乾燥ひびを入れることで、防染した部分にもひび割れに従って染料が入り込んでいくようになり、より複雑なデザインに仕上がります。 これもロウケツ染めならではの表現になります。 そのような工程を経て、葉形や小花等の上を、緑みのにぶい朽葉色の青朽葉（あおくちば）と青粘土のような暗く鈍い黄緑色の青丹（あおに）色の中間色で引き染めしています。 写真9,10 枚目は蝋で防染した後、白の顔料やピンクと水色の染料を生地に載せて染め分け、更に地色を染めた組織とヨコ糸に強撚糸を用いた綸子ちりめんの組織を写しています。 一つひとつの工程にも高度な技術が必要で、糸の中に染み込んだ色の深みのある作品に仕上がった繊細さのある小紋に仕上がっています。 八掛は白の羽二重、八掛は精華生地をあずき色の無地を使用しています。 身丈（背）153　裄64.5　袖巾32.5　袖丈49　後巾30　前巾23.5 広衿　裸スナップが付いています。 仕付け糸付きで、シミ汚れは無いようです。 シミ、汚れ等は出来る限りチェックしておりますが、見落としのある場合もございます。 ご理解の程、お願いいたします。 デジカメの画像です。カメラやスマホそしてパソコン等によって、色の違いがでることがありますので、ご了承下さい。