当時ヨーロッパ圏で作られた形、通称ソフトハット。クラウンは天井にいくにしたがって細くなり、トップクラウンが谷状にへこんでいるセンタークリース型です。 素材には通常のウールよりきめ細やかで艶のある高級なアンテロープ仕上げされたウールを使用。ラビットファー帽体の中で最高品質で、毛足が短いものに起毛処理が行われているものをアンテロープといい、ラビットファーの滑らかな風合いをウールで忠実に再現しました。 ブリムは8cmほどあるワイドブリム。エッジが切りっぱなしのラフな仕上げでありながら、3本ステッチを施すことで強度を保たせています。 リボンには端(通称"耳")がきめ細やかに成形された、特別な紳士用リボンを採用。低速でしか織り上げることができず、さらに多くの工程で熟練職人の手作業を必要とする贅沢な逸品です。その美しい仕上がりは、量産品では決して味わえない、格別の存在感を放ちます。 クラウン周りにはゴムで固定されたウィンドキャッチャーが付属。当時はハットが風で飛ばされたり、移動の際に落ちたりしないように、ジャケットやシャツのフラワーホールにボタンを通して使用されていました。このウィンドキャッチャーは、実用性だけでなく、さりげないワンポイントとして全体の印象を引き締める役割も果たします。 スベリには植物の皮や幹、葉、実などに含まれるタンニン（渋）を皮に染み込ませてなめす製法のタンニンなめしをしたカウレザーを使用。収縮が少なく堅牢で、使い込むほどに頭の形に馴染み、深い色合いに変化していきます。